どうもこんにちはしおさいです。
今回は久しぶりに中学入試問題の解説をしていきたいと思っています。
以前開設したのは二月の勝者などで話題になった開成中学から二問
今回は旅人算編です。
皆さんは旅人算ってご存じですか?
嫌いなんだよなぁ
こんな声が聞こえてきそうですがそんな解説はいつかするとして
本格的に難しい問題をやるのは主に方程式をならう中学以降ですが
日本の小学校算数の高レベル帯の中学入試ともなるとまさかの頻出分野になります。
恐ろしい。
そんな中でも私が初見時最も驚いた一問をお見せしましょう。
Contents
問題~女子学院中~
妹は分速60mで駅に向かって家を出ました。
その15分後に姉が妹の忘れ物に気が付き、分速210mで追いかけました。
妹も途中花屋さんの前で忘れ物に気が付き
慌てて分速90 mで引き返したところ、
本屋さんの前で姉に出会い忘れ物を受け取ることができました。
そのあとまた分速60mで駅に向かったら予定より6分遅れて到着しました。
妹と姉があっていた時間は一分間です。
珍しいと感じたポイント解説
速さの問題は正直下記三つのどれか二つがわかっていれば解けるので
距離情報がすべて抜けていてもほかの二つがあればすんなり解けることが多いです。
旅人算の三要素
・速さ
・距離
・時間
しかしこの問題は”距離”が全くイメージできないからこそ
解くときにイメージがわかずにとっつきにくいのです。
例えば
・家と花屋さん、本屋さん、駅の距離
・姉が家を出た際に妹がどれほど離れているか
等です。
15×60=900m先にいるんじゃないの?
900mより短いかもしれない
こういったときはやることは一つ。
動きを図示してみましょう!
動きの図示~おすすめは数直線~
何より書くことに時間がかからない!
ダイヤグラム的な物を書かせるよう指導するものもありますが
なかなか正確に書くのは難しく、限られた時間で正確に解くにはあまり向かないかなと思います。
ガンガンそういう人は使っていってほしい。
ひとまず数直線を書いてみましょう。
数直線を書くための整理
数直線自体は問題文中の目印(本屋とか)の位置関係と
登場人物の動きの情報があれば書けます。
整理してみましょう。
・家、本屋、花屋、駅の順
・花屋で妹が引き返す
・本屋で姉と合流
これを踏まえて動きを矢印で書くとこんな感じ。
かけたので今度は問題にトライしてみましょう。
問題にトライ~解くための条件整理~
次に条件整理をしてみましょう。
今回使える条件はこちら
・姉は妹の出発後15分後に家を出た
・妹は予定時間より6分遅れた
・妹と姉は1分あっていた
さぁこれだけです。解いていきましょう。
(1) 本屋ー花屋間の距離
一見、本屋ー花屋間の距離に関する情報はないかのように見えます。
ここの気づきが正直一番難しいのですが実は遅れた時間がカギになります。
どこでその遅れが出たかを考えるといいよ。
数直線を見てみてください。
妹が遅れる要因は三つです。
・姉とあっていた1分
・90m/分で戻った花屋ー本屋間
・姉と別れた後に再度60m/分で歩く花屋ー本屋間
この合計が6分
つまり花屋ー本屋間を異なる速さで往復した時間分(これが5分)遅れているのです。
同じ距離を進むとき、かかった時間と速さの比は逆比になりますので
ここでは60:90=2:3で5分を分けると
60m/分で3分、90m/分で2分と時間が配分できるので
本屋ー花屋間の距離は180 mと出すことができるのです。
(2) 姉と出会った時間
姉と妹が出会った本屋が家からどの程度離れているかがわからない以上実は難しい問題です。
算数・数学の問題の鉄則に
”同じものを二通りの見方で見よ”というものがあります。
例えば方程式なんかがそうですね。
両辺が同じものだけど違う式の形をしているから解けるのです。
そういうものを探しましょう。
姉と妹が同一ルートを唯一通過している
家ー本屋間に着目します。
妹は姉に出会うまで
距離としては家ー花屋ー本屋を歩き
家ー花屋ー本屋につくまで15分+姉が家ー本屋につくまでの時間
歩いています。
つまり、ここから家ー本屋間の時間を求めるには
(1)と同じように本屋ー花屋間の往復時間を引けばいいとわかります。
つまり5分引きます。
時を戻す感じです。
今までの議論から、家ー本屋間の時間は
姉: 問題で聞かれている時間 (速度210m/分)
妹: 問題で聞かれている時間+10分 (速度60m/分)
かかることになります。
速さの比は姉:妹=210:60=7:2なので
かかる時間の比は2:7です。
この比の差5が10分に当たるので比の1に当たるのは2分
よって求めるのは比の2なので4分です。
終わりに~中学入試問題の恐ろしさ~
いかがでしたか?
今回は旅人算の最高峰、実際の中学入試問題でした。
難しいことはわからなくても下記二点持って帰っていただけると今後の役に立つかなと思います。
・移動の方向を矢印で数直線で書く。
・同じものを違う角度から見られないか考える
以下感想です。
一次方程式など習えば時を戻さなくても解くことができますが
中学入試は小学校六年生の試験。
一応方程式は”禁じ手”という人もいます。
なので一応方程式を使わない解答で書きました。
中学入試はこうやって無理やり発想で解くそんな恐ろしい世界です。
大学入試などの全国大会ではこんなのが小学生からできる人たちと当たります。
教育の機会均等を実現するために公立の学校でも教えればいいのにと思いますが
何かと難しいのでしょうね。
それではまたいつか。